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2011年8月 7日

江 姫たちの戦国(田渕久美子)


浅井長政と織田信長の妹・市の間に生まれた、茶々・初・江の3姉妹。非情な戦国の世において、彼女たちは運命の波に翻弄されていくのだが・・・。3姉妹の末妹「江」の生きざまを中心に戦国時代を描いた作品。

戦国時代。女性がおのれの意志を貫くのは、不可能な時代であったと思う。江も、政治の駆け引きの道具に使われ、そのたびに人生を大きく変えていく。父や母の亡き後、力を合わせて乱世を乗り切ろうとしていた姉妹たち。けれど、茶々と江はやがて敵として向かい合うことになる・・・。豊臣と徳川。このふたつにはさまれることになる初もまた苦悩する。
男たちの戦いとは違う、女たちの戦いの姿がそこにはある。作者はそういう女性に視点を当て、女性の立場からの戦国時代を描き出した。そういう点は面白いと思う。ただ、もう少し深い心理描写があってもいいのではないだろうか。この描き方では淡々としすぎていて、読んでいて物足りなさを感じた。江たちの微妙な心の揺れや動きをあまり感じることができないのが残念だった。

ゆこりん : 15:15 | 作者別・・た他