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2008年11月12日

血と夢(船戸与一)


1981年3月、ドイツのブロウミッツに漂着した男の死体から驚くべき事実が判明した。新型の銃がソ連で開発された!それに関する情報をめぐり、さまざまな国や男たちが動き出す。元自衛隊陸幕一尉の壱岐もアフガニスタンへと送り込まれるが・・・。

20数年前のアフガニスタンの複雑な国の内情が詳しく述べられていて、とても興味深く読んだ。アフガニスタンに送り込まれた壱岐の任務は、銃を開発したワシリー・ボルコフを、彼が開発した銃とともに拉致することだった。厳重な警戒の中、果たして彼は任務を遂行できるのか?いったいどんな方法をとるのか?緊迫した展開を、息詰まるような思いで読んだ。人をより多く殺戮する目的で作られた新型の銃。そして、その銃の情報を得ようとして、また多くの人の命が犠牲になる。血で血を洗う修羅場のような状況だ。人が血を流し死んでいく描写は、小説といえども読むのがつらかった。また、最後に待っていた結末もほろ苦い。誰も救われないのは、あまりにもむなしすぎる。

ゆこりん : 17:19 | 作者別・・ふ他