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2004年5月26日

残虐記(桐野夏生)


失踪した女流作家が残していった原稿。そこには驚くべきことが書かれていた。彼女は25年前10歳の時に、若い男に誘拐され、約1年の間監禁されていたのだった。彼女はなぜ失踪したのか?監禁事件は彼女にどう影響していたのか?衝撃の物語。

異常な状況下での監禁生活。10歳の女の子が体験するにはあまりにも残酷なものだった。1年後家に戻った彼女はもう以前の彼女ではない。家族もまた以前の家族ではなくなっていた。事件はあまりにも深い傷を残してしまった。周囲の視線も突き刺さるようだ。被害者は、事件が解決したあともずっと心の痛手を引きずっていかなければならない。だが、驚いたのは彼女の心理状態だ。人は極限状況に置かれた時、そうなってしまうのか?そしてそれは、何十年たっても消えないものなのか?ラストはちょっと期待はずれ。残念ながら、意外性も感じなかった。

ゆこりん : 21:05 | 作者別・・き他