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2004年5月12日

すべての雲は銀の・・・(村山由佳)


恋人に裏切られた。彼女の選んだ相手は兄貴。ズタズタになった心を抱えて、祐介は信州の菅平にやってきた。そこでの生活、人とのふれ合いを通し、祐介は、傷ついた心を抱えているのは、自分だけではないことを知る・・・。

誰もがその笑顔の陰に、悩みや悲しみを抱えている。生きる痛みに耐え切れない時もあるだろう。人はどんな困難にも立ち向かう強さと、ふとしたことで崩れてしまう弱さをあわせ持っている。そのバランスが崩れた時、誰かに寄りかからずにはいられなくなるのだろう。人の思いやりが、壊れかけた心を温かく包んでくれる。そこから人はまた強く生きていける。「どんな不幸にもいい面はある」その言葉がとても印象的だった。

ゆこりん : 18:26 | 作者別・・むらやまゆか