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2012年2月 2日

果しなき流れの果に(小松左京)


永遠に砂が落ち続ける砂時計が発見された。それも、白亜紀の地層から。なぜそんな時代に想像もできないものが存在したのか?N大学の理論物理研究所の助手の野々村は、研究所の大泉教授とその友人の番匠谷教授とともに解明に乗り出す。しかし、彼らに危機が迫っていた・・・。

人類が存在しない時代にその砂時計はあった。永遠に砂が落ち続けるという、常識では考えられない砂時計。それがなぜ白亜紀に存在していたのかという謎の答えは、実に壮大なドラマの中にあった!時間を超越し、過去も未来も、今まで私が認識していたのとはまったく違う概念の中にある。過ぎてしまった時間の中にあるものさえ、確定的ではないのだ。過去があって未来がある。この作品では逆も言える。未来があるから、流動的な過去がある。いったい確かなものはどこにあるのか?いや、そんなものは存在しないのかもしれない。この作品は1960年代に出版されたが、今まで色あせることなく存在する。難解だが、スケールの大きな一読の価値のある作品だと思う。
最後に。どんなに人類の科学が発達しても、最後に残るのは「愛」なのではないだろうか。ラストの描写に、作者の想いが強くこめられているのを感じた。

ゆこりん : 16:49 | 作者別・・こ他