« 凸凹デイズ(山本幸久) | メイン | 螺鈿迷宮(海堂尊) »

2007年4月 4日

ららら科學の子(矢作俊彦)


学生運動が盛んな頃殺人未遂で中国に逃亡した「彼」が、30年ぶりに日本に戻ってきた。そこで彼が見たもの、感じたものは・・・?

いったい何を得たというのだろうか?学生運動で、そして30年間いた中国で。家族も友人も捨ててしまって、残ったものは何だったのだろう?そして、なぜ日本に戻ってきたのだろう?戻ってきても、たった一人の肉親である妹にさえも会うことをためらっているのに。読んでいるとなぜ?なぜ?という疑問ばかりがわいてくる。30年前の過去から突然タイムスリップしたかのような彼。戸惑いばかりの生活は、楽しいはずがない。私には徒に年をとってしまったとしか思えない。ラスト、彼の心の中にはほんの少しでも未来への希望があったのだろうか。淡々としすぎていて読んでいてもあまり面白いとは感じなかったが、考えさせられることは多かった。

ゆこりん : 14:46 | 作者別・・や他