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2005年10月10日

憑神(浅田次郎)


婿入り先で男子が誕生したとたん冷たい扱いをされ、ついには離縁させられ実家に戻ってきた彦四郎。出世を願ってお稲荷さんに手を合わせたが、現れたのは人に災いをなす神だった!

何とか憑神から逃れようとする彦四郎と憑神のやりとりが面白おかしく描かれている一方で、「自分が災いから逃れるためには、何をしてもいいのか?」そういう彦四郎の苦悩もシリアスに描かれている。人は自分がつらい立場や苦しい立場に置かれた時、それを他人のせいにしていることが多いのではないだろうか。だが本当は自分の心のせいだとしたら?最後に彦四郎が選んだ生き方は、そのことに気づいたからかもしれない。笑いあり涙ありの作品だがどちらも中途半端な描かれ方で、読後は消化不良のような不満が残った。

ゆこりん : 09:59 | 作者別・・あさだじろう